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スイッチング電源の症状別故障対応法

どうしたらいいかわからない男性の作業員

スイッチング電源は出力していても故障かな?と思うことがあります。

いつもと音が違う、臭い何する、熱い、気のせいかな?
よくある症状別にその原因と対応方法をまとめましたので参考ください。

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異音

ファン

ファンの軸受部のグリースの劣化(硬化)が進むと潤滑材としての機能が失われます。それでファンが回転するのにより大きな力(トルク)が必要になりファンの回転音が大きくなります。

ファンから「カラカラ」と異音がする場合はファン交換をします。
40℃の周囲温度時のファンの寿命は4〜5年くらいです。ホコリが多い環境ではもっと早く寿命がきます。
*ファンメーカーの寿命の定義は定格回転速度の70%の回転速度になった時点です。ファンが停止した時点がファンの寿命ではありません。

トランス

トランスのコアが振動しますので「ブーン」や「キーン」などの音鳴りはしますが、普通は気にならない程度の大きさです。電源自体には問題はありません。
ただし、あまりにも大きい場合はメーカーへ返却します。

高調波電流抑制回路

高調波電流抑制回路付きの電源は入力投入時に「ブーン」と唸り音がすることがあります。内部電圧が安定するまでの一時的なもので故障ではありません。

 

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異臭(白い煙があがる)

何らかの原因で電解コンデンサ内部の圧力が高まるとその圧を逃すため電解コンデンサの「防爆弁」が開きます。その際に「シュー」と音がして白い煙があがり異臭もしますので、はじめて見る人は発煙と勘違いします。

電源は故障していますので新品に交換します。
普通では起こらない現象なのでメーカーへ解析依頼します。

電解コンデンサに過電圧などがかかると内部の圧が高まることがあります。電解コンデンサが爆発する前に防爆弁が開いて内部の圧を下げます。防爆弁は電解コンデンサの頭に単にスリット(切り込み)が入っているだけでメーカーによりスリットの形状は異なります。防爆弁が開くと内部のガスが抜けますので煙が出たり異臭がするため「発煙」したと勘違いする人が多いです。防爆弁が開くことは正常に安全装置が働いた証拠です。

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異常発熱

 

電源は放熱のため筐体(シャーシ、カバー)に熱を伝えますので熱くなります。
電源内部の温度が上がりすぎると過熱保護が働き出力停止するようになっています。

電源の温度を下げるには電源を容量の大きいものに変えたり(負荷率を下げる)、電源の置き場所や向きを変え筐体にスリットを開けるなど熱が抜ける構造にします。

 

発煙・発火

 

スイッチング電源に使われている部品は難燃性ですので発煙発火することはまずありません。
それに至るまでには保護機能があり、安全に停止するように設計されています。

ただ、保証対象外での使い方や使用環境やいくつかの悪条件が重なることもあります。

万が一、発煙・発火した場合はただちに入力を切って何も触らずそのままメーカーへ返却します。

LEDの点滅

過電流保護が動作しています。
出力電流が定格電流値を超えると過電流保護が働き電圧が下がりLEDが消灯します。出力電流が下がると出力電圧も戻りLEDが点灯します。これを繰り返しています。

電源は正常に動作しています。

負荷が大きいので電源を容量の大きいものに変えます。
モーターなどのように起動時にピーク電流が流れる場合はピーク電流値で電源を選びます。
定常時の電流で電源を選定すると過電流保護が動作します。

 

LEDの消灯

LEDの消灯は電源が出力していません。入力電圧、過電圧保護、センシング、リモートコントロールなどを確認します。

入力されていない

電源に適正電圧が入力されていない。
電源の入力側のヒューズ断やブレーカーが落ちていることがあります。
ヒューズが切れていれば交換しブレーカーは戻します。配線も念のため確認します。

過電圧保護が動作

過電圧保護が動作すると出力停止します。

定電圧電源の出力電圧が上昇することはありません。
原因は負荷側から電圧(逆起電圧)がかかると過電圧保護が動作します。
逆起電圧は負荷がモーターの場合にモーターの電流が大幅に変化した時に電源側にかかる電圧のことです。実際再現実験は難しいです。

それらを対策した後、一旦入力をOFFし再入力します。
それでも出力しない場合は電源自体の故障もありますのでメーカーへ返却します。

センシング端子がオープン

センシング機能がある電源はセンシング端子(+S、−S)がオープンになっていると出力電圧が上がり過電圧保護が動作し出力停止します。

センシング端子と負荷を接続するか、センシング端子と電源の出力端子(+V、−V)とショートピースでつなげるかします。

リモートON/OFFコントロールがOFF

リモートコントロールでOFF信号を電源に出すと電源は出力停止します。
OFF信号は0.5V以下の電圧をコネクタに入力することで電源を入力したままOFFすることができます。

リモートコントロール信号をOFFからONに戻します。

ファンの異常

停止

ファンの故障以外に軽負荷(10%以下)時とリモートコントロール機能がOFF時に電源のファンが停止します。
電源自体は正常です。

異音

前述した「異音(ファン)」と同じです。

 

出力異常

出力停止

前述の「LEDが消灯」と同じです。

出力電圧が高い

出力電圧可変ボリュームが右へ(時計方向)回っています。

出力電圧可変ボリュームを左へ(反時計方向)戻します。

出力電圧が低い

装置側の電圧ではなく電源側の電圧を計ります。
出力電圧可変ボリュームが左へ(反時計方向)回っています。
出力電圧可変ボリュームを右へ(時計方向)戻します。

または電解コンデンサの容量抜け(寿命)の場合もあります。
電源を交換します。

出力電圧が不安定

過電流保護が動作しています。
出力電流が定格電流値を超えると過電流保護が働き電圧が下がり、出力電流が下がると出力電圧ももとに戻ります。これを繰り返します。

電源は正常に動作していますので電源の容量を大きいものに変えてください。

 

以上で記事は終わりです。

修理・解析方法は各メーカーで異なりますので確認した上で依頼してください。
お読みいただきありがとうございました。

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