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スイッチング電源にIPはどこまで必要か?

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IPとは何か

 IP(防水・防塵規格)はIEC(国際電気標準化会議)で定められた規格でIngress Protection(侵入に対する保護)の略です。IPのあとには数字2桁がつきます。前の数字が防塵等級、後の数字が防水等級を表しています。数字は数が大きいほど、スペックが高いことを示します。

IP〇〇

防塵に関する第1特性数字
「0」 特に保護されていない
「1」 直径50mm以上の固形物からの保護
「2」 直径12.5mm以上の固形物からの保護
「3」 直径2.5mm以上の固形物からの保護
「4」 直径1mm以上の固形物からの保護
「5」 動作異常になるほどの粉塵が侵入しない性能
「6」 粉塵が侵入しない性能

防水に関する第2特性数字
「0」 特に保護されていない
「1」 真上から落下する水滴からの保護
「2」 15度傾けたときに真上から落下する水滴からの保護
「3」 角度60度以内からの水しぶきからの保護
「4」 あらゆる方向からの水しぶきからの保護
「5」 あらゆる方向からの直接噴流からの保護
「6」 あらゆる方向からの強い直接噴流からの保護
「7」 水深1m、30分以内の水没からの保護
「8」 水没からの保護

 IPで言うとIP68が最も保護性能が高いことになります。

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密閉型電源のデメリット

 スイッチング電源は基板型やユニット型のオープンタイプかカバー付きのものと密閉型があります。シリコンなどで密閉した電源はIP6×適合ですが、放熱しにくくなり使用できる温度条件も厳しくなります。あまり高い周囲温度下では使えません。

 また電源の基板全体をシリコンでモールドしているタイプははんだクラックの問題もあります。基板上にはんだ付けされたリード足タイプの電子部品に発生する不具合です。部品とリード足の間のシリコンが熱膨張と収縮を繰り返すことではんだ付けされたリードの周りにクラックが発生します。クラックが発生すると接触不良が起こります。不具合の症状は振動などにより電源がはいったり消えたりします。そのため屋外で使用する以外は密閉型を使うべきでないと思います。

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IPの試験方法

 さて、電源の防水試験は無通電状態で所定の時間水をかけ、そのあと電源に通電し定格電圧が出力されれば合格です。電源を分解し内部に浸水がないかどうかまでの確認はしていません。また、防水性能は「出荷時の性能」であり電源の保証期間を通して保証しているわけではありません。防水性能はあくまで目安であり電源に水が直接あたらないようにするべきです。

 電源本体からでなくハーネス側から水が浸入することもあります。電線接合部や圧着端子の防水処理が甘く電源内へ水が入る不具合も報告されています。入出力線から浸水すると電源にとって致命的な事故、発煙や発火に至ることがありますので屋外で使う電源の場合は特に注意が必要です。圧着端子のみでは防水性能は確保されません。屋外などでは防水形圧着端子や防水形圧着スリーブを使用し自己融着テープなどでの端子保護が必要です。

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