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ホワイト国とキャッチオール規制。韓国の電源需要はどうなる?

ホワイト国(グループA)

今日(2019年8月2日)の閣僚会議で韓国をホワイト国から除外することが閣議決定されます。日本のホワイト国は経産省のHPを見ると以下の27か国が指定されています。基本は欧米の先進国で、管理などがしっかりでき西側陣営に属している国のようです。韓国はアジアで唯一のホワイト国で小泉内閣の時2004年に指定されました。規制緩和の流れなのでしようか? 反対に親日国のシンガポールや台湾はホワイト国になっていません。

これまで輸出管理制度において「ホワイト国」と「非ホワイト国」の2つの名称を用いてきましたが、今回「ホワイト国」を「グループA」に名称変更し、「非ホワイト国」は「グループB~D」の3つのカテゴリーに分けることになりました。韓国は今回の政令改正でグループAからグループBに変更となりました。

キャッチオール規制

ウランやプルトニウム、トリウムなどの規制品目は国内原発で溜まったプルトニウムをアメリカへ一部引き取ってもらっているのは別にして、どこの国へも輸出できません。それら規制品目以外で大量破壊兵器の製造に使われる材料や装置なども輸出についても規制があり、それを「キャッチオール規制」と言っています。ホワイト国が輸入する際はその手続きが簡略化されています。ホワイト国以外への輸出は手続きと承認まで最長半年かかる場合がありますが、ホワイト国以外へ輸出できないわけではありません。実際ホワイト国以外の国、例えば台湾は申請し承認を得たうえで日本から輸入しています。

スイッチング電源やノイズフィルターはそもそもキャッチオール規制対象品ではありませんので、韓国がホワイト国から除外されても直接の影響はありません。韓国の電源需要はサムスン電子の半導体製造設備がほとんどです。今回、韓国がホワイト国から除外されたことでサムスン電子の設備投資はストップしますので電源の設備需要は当分の間なくなると思われます。

TSMC社

そしてこのチャンスを逃さず台湾TSMC社が年末までに大規模な人材・設備投資に乗り出すそうです。半導体装備エンジニア、研究開発人材、生産ライン管理者、プロセスエンジニアなどすべての職群にわたって3000人以上の採用計画案をぶち上げました。サムスン電子が今回の日本の戦略物資3品目が入手しづらくなったため、半導体の納期遅れを心配してサムスン電子の客がTMSC社に打診していることもあり売上が急拡大するとみています。ただし、半導体の置き換えはかなり難しく性能評価にかなり時間がかかります。性能が単純によくなってもダメで回路上マッチングしないこともあり現実的には新規設計からTMSC製半導体を採用ということになると思われます。

電源業界にとっては韓国の電源需要はなくなりますが、TSMC社の設備投資増で半導体製造装置やテスターなどの装置需要があります。電源は国内半導体製造装置メーカー(東京エレクトロン、日立国際など)やテスターメーカー(アドバンテストなど)、環境試験装置メーカー(タバイエスペックなど)の装置に搭載される二次的な需要になります。つまり今までこれらの半導体製造関連メーカーが電源を搭載してサムスン電子へ販売していたものがTMSC社へ変わるだけのことです。

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