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スイッチング電源の基本【初級編】回路と理論抜きでわかりやすく解説

緑のカエルが初心者マークを持ってハテナ中

スイッチング電源について知りたい
「スイッチング電源を仕事で扱っているけど本当は何なのか知らない。
今さら人に聞けないので困っています。
ググっても回路図とか理論とか難しい話が出てくるのでイヤになってしまう。
でも、とりあえずスイッチング電源の基本を理解したい。」

こういった悩みに答えます。

 

実は私たちの生活はスイッチング電源で成り立っています。
直接目に触れることはできませんが、自販機、駅の券売機やホームドア、街のLED看板、病院の診察受付機やCT・MRI、スーパーのショーケースやセルフレジ、携帯電話の基地局、スマホの電子部品を作っている装置(半導体製造装置)、発電所や工場の制御盤、工場のロボットなどに使われているのです。

ということで、今回は回路方式や技術理論はなしにスイッチング電源の基本(初級編)を説明します。

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スイッチング電源とドロッパー電源

 

電源が必要な理由

なぜ「電源」が必要なのかと聞かれると、なかなか答えにくいものです。

その前になぜ電気が必要なのか?を説明します。
それは電気が移動しやすく使いやすいからです。

石油は資源ですが石油をそのまま移動するのは大変ですし、使うのはもっと大変です。
それで火力発電所で石油を電気に変えているのです。
つまり電気は石油が形を変えたエネルギーということになります。

その後、発電所でつくった電気を工場や各家庭に送電します。発電所でつくった電気は30〜50万Vの超高電圧で送電線に送られ、途中何カ所の変電所で電圧を落としながら最終的には電柱の上にある柱上変圧器(トランス)でAC100Vまたは200Vに変圧され各家庭へと送られます。ACなのは送電に都合がいいからです。

電源が必要な理由は
電子機器に搭載される電子部品はDC(直流)で動作するためAC100V/200VからDCの低電圧へ変換する必要があるからです。その変圧するための機器が「電源」です。

ドロッパー電源とNASAが開発したスイッチング電源

さて、時代を遡ってアメリカがソ連と月面着陸を競っていた頃〜
アポロに電源を乗せるにはドロッパー電源では大きく重すぎるので小型軽量の電源が必要でした。ドロッパー電源(リニア電源)はトランスと三端子レギュレーターでDC(直流)へ変換する重くて大きい電源です。回路は簡単ですがスイッチング電源と比べると重さも形状も5倍〜10倍大きくなります。

NASAはトランジスタなどの半導体を高速スイッチング(ON/OFF)することで出力電圧を変換する電源を開発しました。大雑把に豆電球で説明すると、ONする時間を半分にすると豆電球の明るさは半分になり、ONする時間を1/4にすると明るさは1/4になります。そのONする時間を半導体で調整して明るさ(電圧)を調整するのです。

 

 

スイッチング方式は回路がドロッパー方式に比べて複雑で部品点数が多いことやコスト高であること、ノイズが大きいことなどのデメリットもあります。ノイズとはスイッチングノイズのことで電子部品や機器の信頼性低下の原因となります。スイッチング電源のノイズはおおよそドロッパー電源の10倍も発生しますので、ノイズフィルターを電源の前段に入れてノイズを低減させます。

特に医療用電子機器や計測機は今でもドロッパー方式の電源が一部で使用されていますが、ノイズフィルターの性能があがっていることもあり、今ではスイッチング電源とノイズフィルターの組み合わせで使用されることがほとんどです。

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スイッチング電源の種類

スイッチング電源はいろんな分類がありますが・・・・

以下の3つの分類が主なものです。

定電圧電源と定電流電源
・入力電圧による分類
・形状による分類 

 

定電圧電源と定電流電源

出力電圧を一定にする「定電圧電源」と出力電流を一定にする「定電流電源」に分かれます。

スイッチング電源だからといって必ず定電圧電源というわけではありません。LEDやバッテリーなどは定電流を要求されますし、最近はますますその需要が増えています。

入力電圧による分類

入力がAC(交流)入力とDC(直流)入力に大きく分かれます。

それぞれAC/DCコンバータ、DC/DCコンバータといいます。

ACの入力電圧はAC100V、AC200V、工場の三相200Vです。他は大型プレス機や粉砕機など大電力用の三相AC400Vがあります。

参考までに世界の入力電圧です。

国名 家庭(単相) 工場(三相)
日本 AC100V AC200V
アメリカ AC115V AC230V
UK AC230V AC400V
ドイツ AC230V AC400V
中国 AC220V AC380V
タイ AC230V AC400V
インド AC220V AC380V
オーストリア AC240V AC415V

 

DC入力の電圧は3.3V、5V、12V、15V、24V、48Vです。
バッテリー入力の場合、その電圧が大きく振れるため従来の入力電圧範囲では対応できないこともあり最近は18〜76Vなどのワイド入力タイプも発売されています。

 

形状による分類

スイッチング電源の形状によりいくつかのタイプに分けることができます。

主なものは3タイプです。

ユニット型
・基板型
・オンボード 

 

ユニット型はシャーシ(L板金)付きの電源で、カバーも付けられる箱型タイプです。

基板型は基板のみのAC/DCコンバータです。オプションでシャーシやカバーもつけることができます。

オンボードは基板上に半田付けして取り付ける電源です。DC/DCコンバータが主です。

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仕様書のここだけは見れるように

基本項目

 

仕様書にはたくさんの項目があり、どこを見ればいいのかわからない人も多いと思います。

言い出せば見た方がいい項目は他にもあるのですが、最低限見るのは下の4項目です。

入力電圧範囲
・定格出力電圧
・最大出力電流
・動作(使用)温度 

この中の「動作(使用)温度」は重要です。電源の周囲温度によって使える負荷率(%)を表しています。
負荷率が高いほどいいのですが、周囲温度50℃時負荷率80%を目安に選ぶといいと思います。

実際仕様書には以下のように動作温度が表記されます。
「-10〜+60(-10〜+40℃:100%、+50℃:80%、+60℃:60%」
この例では周囲温度-10℃から+40℃までは負荷率100%、50℃では80%、60℃では60%で使えるという意味です。

また仕様書のスタイルは各電源メーカーにより違いますので、これは慣れるしかないです。

当サイトの検索機能を使うと各電源メーカーの仕様書を確認する必要はなく簡単に周囲温度50℃での負荷率が分かります。

*詳細は「スイッチング電源の検索ガイド【検索の使い方とコツをわかりやすく解説】」をご覧ください。

直列接続と並列接続

よく聞かれるひとつに電源の直列接続と並列接続があります。
電圧値を上げるのは直列運転で電流値を上げるのは並列運転です。

電源は直列接続できますが、並列接続は出来るものと出来ないものがあるので仕様書で確認してください。マルチ出力電源は直列・並列接続はできません。

なお、別の記事で直列接続と並列接続方法を説明していますのでご覧ください。

内容は以上となります。お読みいただきありがとうございました。

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