それ、電気でやる必要ありますか?

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2022年3月16日午後11時36分ごろ、宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測する地震があり、いくつかの火力発電所が緊急停止しました。その後22日は東京でも雪が降るほどの寒波の予報だったので、東京電力管内ではこのままでは電力不足になるため経産省が10%の節電要請を出しました。

東電の22日の電力需給をHPでみてみました。

東電は原発が停止した現在、普通に発電できる能力は4000万kWです。22日の需要予測は4900万kWあり900万kWの不足が予測されていました。予備の揚水発電で400万kWと関電と四電からの電力融通で150万kW、合わせて4550万Wはなんとか供給できますが、それでも400kW弱が不足します。それで経産省は10%の節電を要請したわけです。

東京電力は原発を止めて、ぎりぎりで運転してるので地震で火力発電が停止するとすぐに緊急事態になります。東電の柏崎原発は7基あり821万kWを発電できますから、柏崎を動かしておけば緊急の揚水発電も電力融通もなくても何の問題ありません。

電気は1%でも電力が足りなくなると、電圧が少し下がるという話ではなくで「ブラックアウト(停電)」します。揚水発電はある意味電気を貯めているとも言えますが、発電した電気は基本貯めることが出来ず、すぐに使わないといけません。
それでは発電した電気(供給)が多ければいいのかというと、非効率になり無駄になるということもありますが、使う電気(需要)とほぼ同じでないとバランスが崩れ停電してしまいます。このあたりの調整を電力会社は1分刻みで監視・調整しています。原発は急に出力を上げたり下げたり出来ないので火力発電はそういう意味では調整弁になるわけです。今回はその火力発電所も緊急停止してしまったのですから大変です。

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それって電気でする必要ありますか?

20年前から電力会社は「オール電化」ということで家庭内はすべて電気で賄う住宅が増えました。電気は非常に便利ですが高級で高いものです。皆が何にでも電気を使うようになると災害が起き発電所がとまると今回のような電力不足になります。

そもそも電気には得意なものと不得意(非効率)なものがあります。得意なものはエレクトロニクス製品、照明(ライト)、テレビ、パソコンなどです。昔はガス灯やガス炊飯器はありますが現在ではさすがにガスでそれらを動かせません。

電気で動かしている製品のほとんどは「それ、本当に電気でする必要あるのですか?」というものに電気が使われています。例えばコンロですが昔は皆ガスコンロでした。しかし最近はIHクッキングヒーターという見栄えがよく掃除がしやすい、火事にならないということもあり設置している家は多いです。給湯も昔はガス湯沸かし器が台所にありましたし、風呂もガスで沸かしていました。それが現在は夜間電力でお湯を沸かして、それをタンクに貯めて使うのが普通になっています。

 

火力発電のしくみ

ボイラーでお湯を沸かし、蒸気でタービンを回して発電しています。

 

関西電力/火力発電のしくみより

 

しかし、よく考えてみるとガスコンロだとガスで直接お湯を沸かしますが、電気だとどうでしょうか?電気(IHクッキングヒーター)でお湯を沸かしているように思いますが、その電気は遠くの火力発電所で石油や天然ガス、石炭を燃やしてお湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して電気を作っています。発電というともっと高度なことをしているかと思いますが、お湯を沸かしているにすぎません。それは原子力発電所でも同じです。

その発電した電気は電圧を落としながらいくつもの山を越えて家庭へ電気を送っています。そして最後に家のIHクッキングヒーターでお湯を沸かし直すという二度手間、三度手間をしています。

おおざっぱに言うと火力発電所で使った燃料の35%程度しか電気になりません(変換効率)。残りの65%は熱になって捨てられている(廃熱)わけです。発電所で捨てられる廃熱(お湯)はパイプを引けば冷暖房に利用できるのですが、発電所と都会が遠すぎて廃熱を利用できていません。

電気は非常に便利ですが、高価なものなのです。電気は電化製品やパソコンに使うのは適していますが、自動車や冷暖房、給湯に使うのは非常にもったいないです。それぞれガソリン、灯油、ガスを使えばいいのです。その中でも電気を使うと非効率でもったいない代表がEV(電気自動車)と冷暖房です。

電気自動車も同じです。火力発電所で化石燃料を使ってお湯を沸かしその蒸気でタービンを回し電気をつくります。作った電気を送電し電気自動車のモーターを回し電気自動車が走ります。電気自動車を走らせるのに火力発電所で一旦お湯を沸かしてるのです。ガソリンでエンジンを動かしてタイヤを回したほうが効率がいいに決まっています。自動車はガソリンや軽油で走らせたほうが少ない化石燃料ですむのです。それを発電所でお湯を沸かすと非効率になるのは当然です。

では、なぜそんな非効率なことをするのでしょうか? EVは環境にいいから?電気自動車からは排気ガスが排出されませんので何か環境に良さそうに見えますが、ガソリン車の何倍もの化石燃料が遠くの火力発電所で燃やされているだけのことです。

家庭で使うエネルギー全体の70%程度は冷暖房と給湯に使われています。それらをすべて電気で賄うと原発が再稼働しない中、火力発電所も老朽化していつまで稼働できるかわかりません。ソーラパネルがあるのではと思いますが、夜間や雨の日は発電しません。そういう意味では冬の寒波で夜間が電力事情が厳しくなります。

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コージェネレーションシステム

火力発電の発電効率は約35%で65%は廃熱として捨てられていますが、廃熱を冷暖房と給湯に使うことができます。廃熱を利用することをコージェネレーション(熱電供給)といいます。経産省のHPに載っています。

コージェネレーション(熱電併給)は、天然ガス、石油、LPガス等を燃料として、エンジン、タービン、燃料電池等の方式により発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステムです。

回収した廃熱は、蒸気や温水として、工場の熱源、冷暖房・給湯などに利用でき、熱と電気を無駄なく利用できれば、燃料が本来持っているエネルギーの約75~80%と、高い総合エネルギー効率が実現可能です。

経産省/資源エネルギー庁より

どれくらい利用できるかというと65%捨てていた内の50%を利用できます。(ただ、15%はどうしても廃熱となり利用できません。)発電で沸かしたお湯をパイプで周辺の家へパイプで供給するだけのことで、ガス管をもう一本引くイメージです。捨てていた廃熱なので基本無料で供給でき、周辺の家は冷暖房と給湯はタダです。

現在は火力発電所の周辺には住宅も少なく廃熱は利用できていません。非常にもったいないのですが、電気事業法という法律があり(政府の承認は必要ですが)、電力会社はかかった経費に利益を上乗せした電気料金を設定できます。そのため、大規模な発電所で非効率な発電しても(一部新電力はありますが)競争はないため、コスト削減することはしません。

 

川崎重工製ガスタービン

 

コージェネはマイクロガスタービンで実現できます。マイクロガスタービンは小規模な発電システムで灯油やガスを燃やします。タービンはジェット飛行機のジェットタービンと同じもので、メンテ面も技術的にも完成されています。特に日本製のガスタービン(川崎重工製)は高効率で環境にも優しいです。

だいたい小学校の校区くらいの広さの家庭に電気と冷暖房と給湯を供給できます。最近は子供も少なくなり、廃校となる小学校も多いのでその廃校となった小学校を小型発電所にすれば一石二鳥、三鳥になります。

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