私たちの身の回りにある製品のハイテク化が進んでいますが、それら製品の安全性を個人が確かめることは不可能です。定められた安全基準を満たしている製品ならメーカーや販売店、消費者も安心して使うことができます。
本来、UL規格は民間の規格ですが米国規格協会(American National Standards Institute=ANSI)により米国国家規格として認められています。そのためメーカーにとっては自社製品にULマークを表示することによって消費者に安全規格に適合していることを示すことができます。
ULについて
ULは「Underwriters Laboratories Inc ライターズ・ラボラトリーズ・インク(保険業者安全試験所)」の略称でアメリカの試験検査機関名のことです。
ULのスタートは1893年シカゴで開かれたコロンビア博覧会まで遡ります。博覧会で大量の電球が使われましたが、火災を心配したシカゴ市がウイリアム・ヘンリー・メリルに調査を依頼したことがきっかけです。翌年の1894年に火災保険会社がスポンサーになりメリルによって設立されました。
ULは100年を超える歴史の中で1,400以上の安全規格を策定し、製品を試験・評価し、適合している製品にULマークを表示することを認めてきました。現在はアメリカに20事業所、日本・中国・台湾など海外に70事業所になり世界的ネットワークを形成しています。
ULは材料・部品から最終製品までが対象でそれぞれ安全性の基準を設定し評価方法を設定しています。評価試験に合格したものについてULマークの使用が認められます。
3つのULマーク
ULマークには大きく分けて「リスティング・マーク」と「レコグニション・マーク」「クラシフィケーション・マーク」の3種類があります。
リスティング・ マークは最終製品(完成品)に対する認証で、レコグニション・マークは製品に組込まれる部品、材料に対する認証です。
リスティング ・マーク
ULの安全規格に基づく試験を受け、その要求仕様に適合しているとしてULから認証を受けた製品に使用することができるマークです。
リスティング ・マークを表示することを認められた製品をリステッド製品といいます。
対象となる製品はテレビ、オーディオ、パソコン、エアコンなどの家電や制御盤、電源コード、スイッチなどの産業用製品も含まれます。
レコグニション・マーク
リスティング ・マークは最終製品を対象としているのに対し、レコグニション・マークは部品・材料を対象とします。具体的にはスイッチ、電源、基板、コンデンサ、変圧器、電線、プラスチックなど広範囲にわたります。
気をつけないといけないのは、レコグニション・マークをつけた製品は「限定条件付き認証」されているだけで無条件に最終製品に使用できるものではありません。
クラシフィケーション・マーク
医療機器、防火機器、船舶用機器などが「特定の危険」(火災、感電、傷害など)、「規定された条件下の性能」「UL規格以外の規制」「国際規格など、UL以外の規格」「その他のULが望ましいと考える条件」のうち、1つ以上の条件について評価し、適合性が認められた場合に、クラシフィケーション・マークの使用が許可されます。
以上3つのマークがありますが、製品がどのマークに該当するかは、製品によって、また使用環境、対象者によって評価内容が異なるためどのマークに該当するかはULの判断になります。つまり申請者が希望するマークの認定が取れるかどうかわかりません。
UL規格
ULの主な規格は以下のものがありますが、一般的にスイッチング電源のUL規格はUL60950の安全性に対する規格を取得しています。
UL1740:産業ロボット用機器
UL60601:医療用電気機器
UL60950:情報処理装置(事務用機器を含む)
UL60065:音楽機器
UL508は電源に関してはUL60950よりも絶縁材の厚みを厚くすることと端子台をULの認定を受けたものにすることです。
アメリカへ制御盤を輸出したり現地で制御盤を製作する場合はUL508認定の電源が必要になります。
UL規格認定品でなければアメリカでは電気製品の販売ができません。 各州の法律で決められていることがほとんどですが、そうでなくてもUL規格認証品以外のものが原因で火災が起きた場合、火災保険業者はその責任を負わないという規定があるからです。