PSEには2つの技術基準のPSEがあります。
PSE対象の装置や機器にPSEを取得する場合、どちらの技術基準のPSEを取得してもかまいません。
PSEの2種類の技術基準
PSEの特定電気用品116品目の中に「直流電源装置」の対象品目がありますが、一般のスイッチング電源はPSEの「直流電源装置」ではありません。
というのは、スイッチング電源はそれ単体で使われることはなく、装置組込みを前提とするため最終製品を対象とするPSEにあてはまらないからです。
PSEでいう「直流電源装置」は最終製品を対象としており、装置に内蔵される電源は部品扱いになり最終製品ではありません。
スイッチング電源がPSE対象製品となるにはそれ単体で使われるように、形状面でいくつかの条件があります。
PSEは2014年に省令◯項基準から別表第◯へ変更になりましたが、技術基準は変わらず建てつけだけが変わりました。またPSEには以前から2つの技術基準があります。
・別表第十二(国際規格に準拠した技術基準で旧省令第二項基準)
*別表第十二は独自の技術基準はなく、IECの国際的な技術基準がそのまま「別表十二」の技術基準になります。製品を国内も含め海外にも販売する場合は「別表第十二」、国内だけなら「別表第一~別表第十一」という選択になります。
別表の解釈について経産省のHPを見てみます。
スイッチング電源は「別表第八」の中に「直流電源装置」として技術基準が示され、「別表第十二」の中では「電源装置」としてIECの国際基準が指定されています。つまり、スイッチング電源のPSEの技術基準が2つあるのです。
「別表第八」でも「別表第十二」のどちらでPSEを取得してもPSE取得には変わりはありません。
どちらの技術基準の方が難しいとか易しいとかではなく技術基準の項目が違います。別表第十二の国際基準はEMC(電磁両立性)や高調波電流規制などが厳しく、国内基準の別表第八は絶縁距離や沿面距離などが厳しくなっています。
どちらのPSEを取得すべきか
スイッチング電源メーカーの設計基準や試験方法は国際基準のIEC60950-1に準拠していますので「別表第十二」でPSEを取得するのはけっして難しいことではありません。
一方、「別表第八」でPSEを取得するにはトランスと回路基板の縁面・空間・絶縁距離が「別表第十二」のIEC60950-1より厳しくなるため電源自体が大きくなってしまいます。
では「別表第十二」でPSEを取得すればいいのではと思いますが一つ問題があります。
装置メーカーがPSEを取得する際に、例えば「別表第八」のPSEを取得したスイッチング電源を購入し装置側も同じ「別表第八」でPSEを申請する場合、規格内でスイッチング電源を使っている限りは電源部の再評価は不要です。
しかし、装置側がスイッチング電源と違う基準のPSEを取得する場合は電源に関する適合試験は簡略化されません。例えば装置に別表第八のPSEを取得しようとしていて内蔵するスイッチング電源がPSEの別表第十二を取得している場合です。普通このケースが多いのですが、この場合は装置全体で別表第八の評価をする、つまり電源部は別表第八で再評価する必要があります。
詳細は経産省の「エル・イー・ディー・電灯器具用 直流電源装置の取扱いについて」に記載があります。
よく問題になるのがスイッチング電源が別表第八では不適合になることです。これはPSEの技術基準が(1)国内基準と(2)国際基準では違うためにおこることです。具体的にはスイッチング電源のトランスや回路基板の縁面・空間・絶縁距離です。これは物理的な問題なのでスイッチング電源自体を設計変更しなければならず現実的ではありません。
PSE対象装置を設計する場合、まず取得しようとするPSEと同じ基準のPSEを取得しているスイッチング電源があるかどうかを探した方が賢明です。