スイッチング電源の効率
スイッチング電源は「効率」が高いほど発熱しませんし、効率が低いほど発熱します。効率の単位は%で表記されます。以前のスイッチング電源の効率は75〜80%程度でしたが、最近の電源は85%以上90%弱、中には95%の高効率の電源も珍しくありません。リニア電源(ドロッパー電源)は50%〜60%でしたから格段に効率は良くなっています。効率が良くなったのは回路方式もありますが、電子部品の効率が良くなったことが大きいです。
TDKラムダのHWS100A-5を例にとって説明します。以下の仕様書の入力欄に「効率」があります。100VAC入力時と200VAC入力時では効率が2〜3%ほど違います。200VAC入力の方が効率が良くなります。また出力電圧が高くなる(出力電流が小さくなる)ほど効率が良くなります。3.3V出力と48V出力では5〜6%効率が変わります。つまりAC100V入力で3.3V出力の電源はAC200V入力で48V出力の電源より8%も効率が悪くなります。
スイッチング電源の発熱量(電力量)
それではAC100V入力時のHWS100A-5の発熱量(電力量)を計算してみます。出力は5V20Aですから出力電力は100Wです。仕様書によると効率は84%ですので、負荷側(二次側)に100W÷0.84=119Wが消費され、実際には100Wが負荷で使われたことになります。その差119W-100W=19Wが熱に変わったことなります。
発熱量の19Wはあくまで1秒間に発生した電力なので、これに時間を掛けた値が発熱量(電力量)で単位はJ(ジュール)です。またはcal(カロリー)です。
HWS100A-5の1時間(3600秒)の発熱量(電力量)は19W×3600秒=68,400Jになります。また熱量ではcal(カロリー)単位もあります。J(ジュール)からcal(カロリー)換算するには1J=4.2calと決まっていますので、68400J÷4.2=16,285calになります。