スイッチング電源の種類
さて、スイッチング電源には「定電圧電源」と「定電流電源」の2種類の電源があります。定電圧電源は電圧を一定にする電源、定電流電源は電流を一定にする電源です。
24V4A(100W)出力の電源があるとします。定電圧電源は出力電圧は24Vで一定で電流は0A〜4Aまでの間で負荷により変動します。
定電流電源は出力電流は4A一定で、出力電圧が10Vくらいから24Vの間に決まります。定電流電源の出力電圧は0Vからでなく定格出力電圧の半分くらいのところから出力します。
専用電源と推奨電源
LEDモジュールメーカーはスイッチング電源を自社開発の「専用電源」または標準電源メーカーのスイッチング電源を「推奨電源」としてカタログで指定しているのが一般的です。専用電源はLEDモジュールメーカーがカスタム電源メーカーに専用に開発させたスイッチング電源のことで電流・電圧値、形状などの仕様が特殊です。
これに対し推奨電源は標準電源なので市場で入手でき価格も手頃です。LEDモジュールの選定は価格だけでなくその電源の価格や入手性、寿命も考慮してLEDモジュールを選定した方がいいと思います。
ただ、どちらにしてもLEDモジュールメーカーが指定しているスイッチング電源から選定すべきです。電圧と電流値が同じだからといって別のスイッチング電源を使うと思わぬ故障の原因になります。LEDモジュールメーカーは様々な条件で点灯試験や連続通電試験を実施してスイッチング電源の信頼性を担保しています。どうしてもLEDモジュールメーカーの指定しているスイッチング電源以外を使う場合はLEDモジュールメーカーに確認した方がいいでしょう。
定電流電源と定電圧電源の特徴
そもそもLEDは順方向に一定の電流を流すことによって光るので本来はLEDを光らせるのは「定電流電源」を使う方が良さそうなのですが「定電圧電源」を使うのはそれなりの理由があります。それは定電圧電源は流通している種類も多くあり比較的安価でどこでも入手できることです。以下に定電流電源と定電圧電源の特徴を列記します。
定電流電源の特徴
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- 全てのLEDに一定の同じ電流が流れるので「明るさ」のばらつきがない。
- LEDが一つでも故障すると全消灯となる。
- 定電流素子や抵抗がいらないので消費電力が低く発熱が少ない。
- 電線に流れる電流が小さく電圧ドロップの影響が少ないので配線距離を長くできる。
- 一般に流通している定電流電源の種類が少なく定電圧電源より価格が高い。
定電圧電源の特徴
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- LEDのVf値のバラつきや発熱によって「明るさ」がばらつく。
- LEDが一つ故障しても並列につないでいるため全消灯にはならない。
- LEDに一定の電流が流れるようにする定電流素子や抵抗を組み込む必要がある。
- 電圧ドロップの影響があり配線距離をあまり長くできない。
- 一般に流通している定電圧電源の種類は多く入手性もいい。
LEDモジュールと電源の接続時の注意点
LEDモジュールの接続数はLEDモジュールメーカーの指定数にしたがってください。また異なる種類のLEDモジュールをつなげるのもNGです。
LEDモジュールをスイッチング電源につながず直接AC電源に接続したり、スイッチング電源の+ーを逆にしてLEDモジュールと接続したりしてもすぐにLEDが壊れてしまいます。
そしてもう1つ絶対してはいけないことがあります。それはACコンセントと定電流電源をつないでから決して電源とLEDモジュールをつなげないことです。そうするとスイッチング電源にたまった電荷がサージ電流として一瞬でLEDモジュールに流れ込みLEDチップを焦がしてしまいます。
スイッチング電源とLEDモジュールをつないでからスイッチング電源とACコンセントを繋いでください。そのスイッチング電源が「定電流電源」か「定電圧電源」かわかりませんから、どちらにしてもこの順番でつなぐようにしてください。また間違ってつないでしまった場合、LEDが点灯しているので大丈夫と思いがちですが、単に完全に消灯してないだけで既にLEDチップの一部が焦げてしまっています。半年以内に消えますので交換した方がいいです。
なお、定電圧電源の場合は出力側にサージ電流は流れることはありません。