手術ロボット 「ダ・ヴィンチ」
手術ロボットといえばアメリカのインテュイティヴ・サージカル(Intuitive Surgical)のロボット「ダ・ヴィンチ(da Vinci)」が有名です。というかそれしか聞いたことがありません。手術ロボットは同社によりほぼ独占状態でしたが、そのほとんどの特許150本が昨年2019年に切れましたので日本の医療機器メーカーや産業ロボットメーカーにとっては参入のチャンス到来です。
ダ・ヴィンチは3つの装置でできています。写真左の「サージョンコンソール」と呼ばれる操作台と写真中の三本のアームとカメラで患者を手術する「ペイシェントカート」、そして両者をつなぎ画像を送ったりサージョンコンソールからの指令をペイシェントカートに伝える「ビジョンカート」です。
操作者(医者)が少し離れたところから患者の患部を3Dディスプレイを見ながらアームを操作し手術します。出血が少ない内視鏡手術なので患者のメリットが多く日本の病院でも導入が進んでいます。数年前から男性の前立腺癌の手術は保険適用となっています。入院期間が1開腹手術より1週間短くなることを考えるとダ・ヴィンチ手術の方が良さそうに思います。手術時間も60-70分で開腹手術と比べると短時間ですみます。アメリカでは前立腺手術の8割がダヴィンチを使った手術とのことです。
ビジネス+ITによりますと日本にはダ・ヴィンチが300台が導入されており、価格はオプションなどを含めると約2.5億円で年間2000万円の維持費がかかります。それでも5年前に25%の値下げをしたそうです。
手術ロボットは日本でも急速に普及が進んでいるが、導入機種のほとんどは「ダ・ヴィンチ」。全世界で4500台以上納入されたうち約300台が日本の病院に設置されている。台数ではアメリカに次ぐ第2位である。
デメリットに挙げられるように「ダ・ヴィンチ」はコストがかかる。1台の価格は約2億5000万円で、年間維持費が約2000万円かかる。オプションの装置や、メスや鉗子(かんし)など消耗品も高く、医療機器の中でも高いと言われるMRI(磁気共鳴画像診断装置)の標準機種とも肩を並べるほどの値段だ。
日本の産業用ロボットは世界最高
実は日本は世界No.1の「産業用ロボット」の技術力を持っています。IFR(国際ロボット連盟)によりますと産業用ロボットの売上トップ5はABB、ファナック、川崎重工業、安川電機、KUKA(KUKAは2016年に中国の家電メーカーの美的集団に買収)で日本メーカーは3社入っています。ABBは日本ではあまり馴染みがないのですが、スイスに本社を置く創業から140年の多国籍企業です。
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- ABB スイス
- ファナック 日本(山梨) 売上5,396億円 FA、ロボマシン、IoTプラットフォーム事業
- 川崎重工業 日本(神戸) 売上1兆6,000億円 航空機、車両、船舶の総合エンジニアリングカンパニー
- 安川電機 日本(福岡) 売上4,700億円 インバーター、モーター、ロボット
- KUKA ドイツ(中国) 売上3,600億円 老舗のロボットメーカー
産業用ロボットと手術ロボットとの違いは手術用ロボットが医療規格を取得しコントローラー部をファンレス小型にするくらいで、電気性能・機能は同じです。同程度の産業用ロボットの価格はオプション含め2,000万円くらいですが、手術ロボットは産業用ロボットの価格の約10倍以上の値段で売れるのです。