ノイズの原因
電子機器・装置が誤動作した場合、その原因がノイズである可能性もあります。普通は商用AC電源、つまりコンセントから電源をとりますが、その場合入力系統からの影響③④とその系統につながった他のコンセントを利用した機器や装置からの影響①②があります。
- 他のコンセントの機器がON/OFFした時の誘導サージノイズ
- 他のコンセントの機器が発する高調波電流
- AC入力ラインに乗った静電気放電によるサージノイズ
- AC入力ラインに乗った電気的ショックの伝播
電子機器・装置には以上4つのノイズが考えられます。①②の他の電子機器からの誘導サージノイズや高調波電流については再現性があるので、その機器の入力プラグをコンセントから外してやれば、他にその電源系統につないでる機器や装置がなければ、そのノイズの原因がその機器かどうかは簡単にわかります。入力ラインからのノイズ③静電気放電④雷サージの場合は再現性が低いのモニターする(様子見)しかありません。
どちらにしても外部ノイズの影響でなく、電子機器・装置の不具合の可能性もあります。その場合は入力は「AC電源を使用しない環境」にしてみます。コンセントではなくUPS(無停電電源装置)や発電機からAC電源をとります。これで不具合現象が再現しないならACコンセントからのノイズの影響である可能性が高くなります。
気をつけないといけないのは特に発電機のAC電源の波形はきれいな正弦波でなかったり、電圧が141Vより大きく振れたりしますので、その影響も考慮する必要があります。
電源まわりのノイズ対策
本来は電子機器がノイズを出さないような設計をしないといけないのですが、そのノイズを受ける機器側にとってはノイズに影響されない対策も必要になってきます。
具体的には以下の3つの対策があり、簡単な方から説明します。
ノイズフィルタやノイズカットトランスを入れる
ACコンセントと電子機器の間に「ノイズフィルタ」を入れます。このノイズフィルタはACラインに乗ったサージノイズやコモンモードノイズをある程度減衰させるもので完全に除去するほどの効果はありません。ノイズは目に見えるものではないので「お守り」的に装置(電源)の前段にノイズフィルタを入れることもあります。
またノイズフィルタの代わりに「ノイズカットトランス」という電気的にトランスで分離してノイズを伝えないノイズ対策用トランスを使うのも非常に効果があります。
対策は簡単ですがデメリットとしては、ノイズフィルタやノイズカットトランスでノイズを減衰しても、そこから電子機器・装置までの経路上でノイズが混入する可能性があります。
インレット型ノイズフィルタを入れる
上の対策としてACケーブルを機器につなぎこむインレットにノイズフィルタを組み込んだ「インレット型ノイズフィルタ」です。ノイズフィルタと機器までの経路がありませんのでノイズ混入はありません。
デメリットは容量(アンペア数)は小さいものしかないことと比較的高価なことです。
外置きのACアダプターを使う
上の2つの方法では対策をしても結局、機器装置のケースの中までAC電源の配線が入り込みますので、機器内部の基板の電子回路の電圧レベル(+5V)に対してはAC100Vはノイズ対策にとってかなり厄介な存在になります。
それで電子機器・装置内にAC/DC電源を置くのではなく、外部に「ACアダプタ」というACの整流し電圧を落として平滑した程度の簡易型の直流電源を使う方法があります。パソコンをはじめ多くの電子機器はACアダプタを使っており、コンセントにはたくさんの黒いACアダプタが並ぶとういうのはよく見かける光景です。
ACアダプタを使うメリットは以下のものがあります。
- 中国や東南アジア製の安いACアダプタ
- 電子機器内にAC/DC電源がないので発熱が抑えられ小型化が可能
- 電子機器自体がDC入力になるのでPSE対象製品でなくなる。(ACアダプタはPSE対象製品)
- 電子機器のノイズ対策が楽になる。