医療機器業界のスイッチング電源需要

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まず、国内の医療機器メーカー大手とはどんな会社があるでしょうか。2019年度の10位までの売上は以下の通りです。

1位 オリンパス            6,418億円 内視鏡で世界トップシェア(70%)
2位 テルモ              5,995億円 カテーテルやステント
3位 富士フィルム(メディカルシステム)5,041億円 レントゲン、内視鏡、エコー
4位 ニプロ              4,264億円 ディスポーザブル、人工透析機他
5位 キャノンメディカルシステムズ   3,024億円 CT、MRI、エコー
6位 シスメックス           3,019億円 検体検査用機器・試薬大手
7位 日本光電工業           1,788億円 生体計測機器・生体情報モニタ・AED
8位 日立製作所(ヘルスケア事業)   1,432億円 CT、MRI、エコー
9位 フクダ電子            1,298億円 医療用電子機器(心電図・AED)大手
10位 オムロン(ヘルスケア事業)     1,157億円 血圧計の世界シェア50%

 

順番に製品を見ていきます。

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オリンパス

オリンパスといえば一眼レフカメラ、デジタルカメラですが、売上8,000億円の半分が内視鏡事業の売上です。約4,000億円の内視鏡事業の売り上げのうち、84%は米欧日が占めています。内視鏡の世界シェアは70%圧倒的シェアです。視鏡本体や処置具、画像処理装置を福島県の2工場、青森県の1工場で生産しています。

主力製品の視鏡ビデオスコープシステムはビデオスコープとビデオシステム本体(カラーモニター、ビデオプロセッサ、光源装置、写真撮影装置、プリンタ)に大別されます。電源を使っているのはビデオシステム本体側ですが電源仕様はマルチ出力の特殊仕様で制御基板と一体化し内作(または外注)しています。プリンターなどの周辺機器も同じ制御基板と電源一体型です。一般的な標準スイッチング電源は使用していません。

 

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テルモ

ステントは血管の一部分を広げるために用いる金属のチューブ です。
カテーテルとは医療用の細い管のことであり、狭心症や心筋梗塞など心臓の血管がコレステロールなどによって詰まったりする時に太腿の静脈から挿入して治療します。

血管にカテーテルを挿入し患部まで通し、その先のステントで血管を広げ薬を入れステントは血管内に残し時間をかけて溶ける手術方法です。当然、スイッチング電源は使われていません。

 

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富士フィルム(メディカルシステム)

製品はレントゲン、内視鏡、超音波診断装置などです。

レントゲン装置の電源は高電圧電源のため一般のスイッチング電源ではありません。
内視鏡システムの「プロセッサー」「光源装置」「レコーダー」「プリンター」の電源は制御基板一体型のカスタム電源で内作(外注)しています。

超音波診断装置はエコー検査のことで、体に超音波を当ててその反射で体内の様子を映し出します。超音波診断装置の電源はACアダプターです。コンセントからACアダプターで電源を供給中AC電源で稼働し、同時にバッテリは充電されます。 バッテリ駆動では1時間程度稼働し、バッテリの充電時間は5時間くらいです。一般的なスイッチング電源は使用していません。

また富士フィルムは日立製作所(旧日立メディコ)の画像診断システム(CT,MRI,X線診断装置,超音波診断装置等),電子カルテ等の研究開発・製造・販売・保守サービスを2020年7月買収予定です。

参考までに世界の超音波診断装置のシェアはGEが22%、フォリップスが19%、キャノンメディカルシステムズ(旧東芝メディカル)が14%、シーメンスが14%、日立製作所(旧日立メディコ)が4%です。

ニプロ

人工透析装置は腎臓の代わりに血液から老廃物を取り除く装置です。人工透析をしている患者は日本、欧米が中心ですが中国や東南アジアの新興国の伸びが著しいそうです。世界の患者数は2016年末時点で約300万人。国内の患者数は日本透析医学会の統計調査によると、2017年12月31日末時点で33万人だそうです。

ニプロは渋谷工業から人工透析装置をOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けています。ニプロは透析に必要な人工腎臓(ダイアライザー)やチューブといった消耗品を生産し、渋谷工業の透析装置とセットで販売しています。

販売台数は年間約1万台で2万台を目標にしています。人工透析機の定価は高級外車並みの800万円です。透析を受ける患者は月40万円の治療費がかかりますが、保険適用で実質の支払い額は月約1万円の負担です。透析の年間医療費は1兆6000億円もあり病院にとっては透析患者は病院経営を安定させる存在になっています。

また、透析は週三回で一回4時間かかるので人工透析機はACコンセントから電源をとります。ニプロの人工透析機の電源は以前医療規格に適合したマルチ出力電源が使用されていましたが、現在は500W程度の単出力の電源にして基板上(負荷の直前)で必要電圧に変換する分散給電方式を採用しています。スイッチング電源需要は1台2万円と仮定すると年間2,000〜4,000万円程度になります。

 

キャノンメディカルシステムズ

 

旧東芝メディカル、2016年12月に東芝がキャノンへ売却しキャノンの子会社に。画像診断装置分野(CT、MRI、エコー)で国内No.1です。CTとMRIは高額なものは数億円にもなります。

東芝時代に世界初の320列CTを先駆けて発売し、CTといえば東芝でした。キャノンメディカルになってからCT国内シェア首位の50%を占め、海外向けを含めて年間約1,500台製造しています。

CTにはスイッチング電源が使用され電源部は本体下部の制御部に搭載されています。一般的にCTは制御用にAC200V入力5V出力(100〜150W)とモーター駆動用の24V出力(300〜600W)は電源が複数台使われます。スイッチング電源需要は年間約4,000〜5,000万円です。

また、MRIは高周波電源、超音波診断装置はACアダプターが使われています。

 

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