線材径の太さを選定を間違って細い線材を選ぶと、線材に電圧が高くかかり負荷端電圧は大きく下がります。そのままであれば負荷端の電圧が下がり最悪、負荷装置が動作しないことになります。
スイッチング電源の機能にはリモートセンシング機能が備わっているモデルがあり出力端子から負荷までの電圧ドロップ分を補正します。
例えば5V出力の電源が負荷端で4.5V、つまり-0.5V電圧降下するとその0.5Vを電源側で自動的にプラスして5.5Vを出力する機能です。使い方は簡単で端子台の+S 端子を負荷の+に、ーS端子を負荷のーに接続します。そうすると+SとーSの電圧値がスイッチング電源側にフィードバックされ、負荷端の電圧が5Vになるまで電圧が上昇します。
線材選定時の計算法
上記回路でスイッチング電源(5V30A)のリモートセンシング機能で負荷側の電圧は5Vになっているとします。センシング機能を使った時の負荷側の電圧は出力側のスイッチング電源の出力電圧と同じです。
使用する線材は以下の表のタイプを使っている場合、電流値が20Aなので使える線材はAWG16(23A)より下の線材です。
- AWG16 (最大電流23A、re:14.7Ω/km)の線材3mにかかる電圧はV=IR=20A×L×re=20A×3m×0.0147Ω/m=0.882V
線材は2本なので0.882V×2=1.764V
つまり電源出力側では5V+1.764V=6.764Vまで電圧が上昇します。
ただし、電源には過電圧保護機能があり5Vだと6V以上になると電源が停止します。
症状としては電源を投入後、LED出力ランプが点灯しますがすぐに消灯、出力も停止します。
線材が細すぎるので、太い線材にします。 - AWG14 (最大電流33A、re:9.5Ω/km)の線材3mにかかる電圧はV=IR=20A×L×re=20A×3m×0.0095Ω/m=0.57V
線材は2本なので0.57V×2=1.14V
つまり電源出力側では5V+1.14V=6.14Vまで電圧が上昇します。
これでも過電圧保護機能6Vにかかるので、もう一つ太い電線にします。 - AWG12 (最大電流45A、re:5.09Ω/km)の線材3mにかかる電圧はV=IR=20A×L×re=20A×3m×0.00509Ω/m=0.3054V
線材は2本なので0.3054V×2=0.6108V
つまり電源出力側では5V+0.6106V=5.6108Vまで電圧が上昇します。
過電圧保護機能にはかかりません。